獣医執筆:犬が下痢の時。食事や水はどうするべきか?

犬が下痢になってしまった時、食事はあげてもよいのか?減らしたほうがよいのか?悩むと思います。
他にもドッグフードを変えたほうがよいのか、今までのものをふやかしたほうがよいのか?どんどん悩みは膨らむと思います。様々なケースがありますので、症状別で解説します。

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犬の下痢の様々な症状

一言で下痢と言ってもそれに伴う症状は様々です。その症状をいくつかに分類してみましょう。

  • 下痢のみ
  • 下痢で、食欲がない
  • 下痢で、嘔吐がある
  • 下痢で、食欲・元気がなく嘔吐もある

このように、「嘔吐があるか」「食欲があるか」「元気があるか」で分類していきます。

犬の下痢の原因

下痢は様々な原因で起こります。

  • ドッグフードが合わない
  • 普段食べないものを食べた
  • 古くなったものや、腐敗したものを食べた
  • 細菌やウイルスなどの感染
  • 寄生虫感染
  • 腸の働きがよくない
  • ストレス
  • アレルギー
  • 腫瘍などの重大な病気
など

ドッグフードが合わなかった場合はフードを変更することで下痢が良化する場合が多いです。
また、ストレスがかかる環境が腸の活動に影響を与えてしまっているならばできるだけストレスを解消してあげることで腸の調子が整うでしょう。
感染などの場合は投薬治療が必要になりますが、いずれにしても食べ物をどうするかは重要な問題です。
食べたものをエネルギーや体を維持していく栄養素に変えて生活していますし、食べたものは必ず腸を通ります。
腸ではどのような働きをしているのでしょうか?

犬の腸での栄養吸収の仕組み

食事を考える前に腸でどのように栄養素が吸収されるのかをお話しします。
小腸では栄養素の吸収、大腸では水分吸収が行われます。
栄養素には「タンパク質、炭水化物、脂肪、ミネラル、ビタミン」などがあり、水分は栄養素にみられにくいですが、身体にとって非常に大切なもので体の80%以上を占めています。体の中で作ることのできる栄養素はありますが、基本的にその材料は体外から食事として取り込まなければなりません。

三大栄養素である「タンパク質・脂肪・炭水化物」は消化分解され最終的に次のような栄養素になります。
タンパク質➡アミノ酸
脂肪   ➡脂肪酸とモノグリセリド
炭水化物 ➡ブドウ糖

小腸の内壁には絨毛や微絨毛と呼ばれる細かな毛のような構造があり、毛細血管やリンパ管が張り巡らされています。
アミノ酸とブドウ糖は毛細血管から吸収され、脂肪酸やモノグリセリドはリンパ管から吸収されます。
この絨毛や微絨毛は非常に小さな構造で小腸の内壁にあり、栄養吸収するためには欠かせない構造です。
しかし、下痢を起こしてしまったり血便が出ている状態では腸の粘膜が荒れてしまい剥がれ落ちてしまいます。
栄養吸収に大切な絨毛などが壊されてしまい、十分な栄養が吸収できなくなってしまいます。

下痢を起こすと腹痛や嘔吐を伴い苦しい思いをしますが、それだけではなく栄養吸収もできにくくなっているのです。腸内の絨毛が一度壊れてしまうと回復するまでに時間がかかり、ひどい下痢になってしまった場合には元通りの構造に戻るまでに1か月近くかかることもあるといわれています。

下痢の時の食事のあげ方

では、下痢を起こしたときにはどのようにすればよいのでしょうか?
少しでも食べたほうがよいという意見もあるし、絶食が良いという意見もあります。さらに、ドッグフードを下痢専用にしたほうがよいという意見もあります。
様々な意見がありますが、ケースバイケースという意見で進めたいと思います。
下痢の原因も様々、先に記したように「下痢でも食欲がある場合」や「下痢で全く食べることができない場合」まで様々です。
症状によってどのようにすればよいのかを解説します。

食欲がある場合は食事の量を減らして与える

下痢だけど、元気もあるし食欲もある場合ですが、絶食にせず量を半分ほどに減らしてください。

水は冷たすぎない水を少量頻回あげるようにしてください。下痢を起こすと想像以上に脱水します。脱水を予防するために少しずつ水はあげましょう。
食欲もあるからいつも通りで様子を見て大丈夫だろうと考えると、翌日から下痢がひどくなり嘔吐を伴うようになることがあります。食べたものは必ず腸を通り便となり排泄されます。下痢になっていること自体、腸でトラブルが起きていますので少しでも腸への負担を減らす意味でも減らしてあげてください。

食欲がない場合、基本的に絶食とする。ご飯は上げないが水は注意深く与える

食欲がない場合は、絶食にします。

何かを食べたほうがよいと強制的に食べさせると逆効果なのでやめましょう。
また、水は冷たすぎないものを少量頻回あげるようにしてください。水も飲まない場合は動物病院で皮下点滴を受けたほうが回復が早くなります。

下痢になると腸の動きが異常に早くなったり、ねじれるような動きを起こし胃や腸に張り巡らされている神経を刺激し、腹痛が発生します。腹部で痛みが発生すると脳の視床下部にある食欲中枢も影響を受け食欲がわかなくなってしまいます。このような状態の時に何かを食べると、さらに腸が動くことで神経を刺激してしまい腹痛が激しくなり、さらにひどい下痢を引き起こしてしまいます。

食欲もなく、嘔吐がある場合も絶食する

この場合は絶食してください。

嘔吐は脳にある嘔吐中枢が刺激されて起こります。
下痢に伴う嘔吐は「消化管の運動異常・低下・亢進」がきっかけになり神経を刺激し起こります。そのほかには細菌毒素が原因になる場合もあります。いずれにしろ腸が動くと嘔吐が起こる状況になっているので絶食します。

嘔吐も下痢も起こっている状況だと脱水が激しくなりますので水分補給は大切ですが、少しずつ水を飲ませても吐くのであれば絶水してください。
動物病院で皮下点滴を行い脱水を防ぐ処置をして、口を湿らす程度の量の水をあげるようにしましょう。あまりにもぐったりしている場合は入院して治療したほうが回復が早い場合があります。

食事は何をあげたらいい?

下痢の時には量を減らしたり、絶食にしたりしますが、食事を少しずつとれるようになったらどのようなものをあげればよいのでしょうか?

いつものドッグフードをふやかす

一番取り組みやすいのはいつも食べているドッグフードをふやかす方法です。
つぶれるくらいまでふやかした状態のものから始めて、少し芯が残るようにしていきながら今までの食事に戻していきます。

下痢専用のドッグフード

普通食ではありませんが、下痢専用の治療食があります。

流動食、ドライフード、缶詰があるのであまりにも激しい下痢の場合にはフードの変更をするほうがよいかもしれません。脂肪が多く含まれるものや消化しにくい不溶性繊維が含まれるドッグフードはあげない方がよいでしょう。

このような治療食は動物病院で診断を受けてから用いるようにしてください。

手作り食

手作り食は栄養バランスがとりにくく長期的にそれだけを食べることはお勧めしませんが、腸の状態を整えるために短期的に食べるのはよいでしょう。

材料としては、「消化酵素が含まれている大根やカブ(熱を加えると酵素が壊れるのですりおろすなどして生で)」「粘膜保護の成分(ムチン)が多く含まれるオクラやモロヘイヤ」「体を温める効果のあるかぶ、大根、鮭、ショウガなどの食材」が下痢の時にはよいとされています。

体質や好み、アレルギーの有無もありますので一概にどの犬にも良いとは言えませんが、試してみるのはよいと思います。

いつ普通の食事に戻せばよいのか?

下痢の時には食事の量を減らすか絶食にして様子を見ていきますが、どのタイミングで戻せばよいのでしょうか?
元気や食欲が出て下痢が止まってきても、傷んだ腸の粘膜の回復は少し遅れます。
いきなり元の量や元の食事に戻すとまた下痢になってしまうことがあります。
1週間位を目安に少しずつ元に戻していってください。下痢の状態がひどかった場合は、10~14日ぐらいかけながら戻していきましょう。

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犬が下痢の際の食事:まとめ

下痢になった時に食事や水はどうすればよいのか迷います。基本的には減らすか絶食をお勧めします。どちらにするのかはケースバイケースです。下痢の原因は様々ですので、まずは受診し検便を行い原因を突き止めたうえで治療や食事の選択を考えていきましょう。